【THE THOUSAND KYOTOの都市養蜂プロジェクト】
なぜ「1歳未満のお子様には与えてはならない」のか
~Vol.11~
なぜ「1歳未満のお子様には与えてはならない」のか
~Vol.11~
2024年3月29日

よく見かける注意書き
こんにちは。
ザ・サウザンド京都 都市養蜂プロジェクトメンバーの和田です。
とろけるように甘く、おいしいはちみつ。
はちみつや、はちみつを含む商品のパッケージには、以下の言葉がよく書かれています。
「1歳未満のお子様には与えないでください」
どうして、このような注意書きが必要なのでしょうか。
1歳未満のお子様にはちみつを与えると、発症する恐れがあるのが、「乳児ボツリヌス症」です。
便秘が数日間続き、全身の筋力低下、脱力状態、哺乳力の低下、泣き声が小さくなる、顔面が無表情で首のすわりが悪くなるなどの症状があり、最悪の場合、死に至る可能性のある危険な病気です。
ボツリヌス菌は海、川、湖等の泥の中など自然界に広く存在し、熱に強いので、通常の加熱や調理では死滅しません。
ハチミツは、土壌に生えている植物から採取した蜜から生成され、非加熱・無加工で提供されることが多いためボツリヌス菌の芽胞が混入している危険性が高いのです。
なぜ1歳未満だけ?
大人の腸内では、ボツリヌス菌の芽胞は他の腸内細菌との生存競争に負けてしまうため、通常、何も起こりません。
一方、赤ちゃんの場合、まだ腸内の粘液の自浄作用が未熟で腸内環境が不安定なため、菌の芽胞が腸内で発芽し、増殖することで発生したボツリヌス毒素を吸収してしまい、乳児ボツリヌス症を発症する可能性があります。
離乳食を開始し、さなざまな食材を摂取することで腸内環境が整う1歳を目安に、はちみつを食べて良いとされています。
1987年に厚生省(当時)から「はちみつは1歳未満のお子様には与えないように注意して」と通知が出されましたが、食品表示法などにより記載が義務化されているわけではありませんので、注意が必要です。
なお、ボツリヌス菌による病気は上で触れた「乳児ボツリヌス症」のほかに、「ボツリヌス食中毒」などの異なる病気があり、これは大人でも発生することがあります。
前者は「芽胞」が体内に入って発症する可能性がある病気(1歳未満の乳児のみ)、後者はすでに「芽胞」が発芽し、ボツリヌス毒素が産生された「食品」を口にすることで発症する可能性がある病気です。
今回は、なぜはちみつは1歳未満のお子様には与えてはいけないのかを、解説いたしました。離乳食が始まり、1歳の誕生日を迎えたら、
「人生、シブいことも多いけど、こんなに甘いものもあるんだよ」
と伝える代わりに(?)はちみつを食べさせてあげてください。
生まれて初めてのとろける誘惑に抗えず、ついつい食べすぎてしまわないように「ミツバチの1匹の一生で、スプーン1杯分のはちみつしか作れないんだよ」と教えてあげてくださいね。
「ミツバチがいなければ人間は生きられない」と言われるほどにミツバチが花粉媒介者(ポリネーター)として、地球の植物の成長を助けているということも…
なお、妊婦の方や、授乳中の方がはちみつを摂取することは、問題ありません。
おやつ代わりに、はちみつヨーグルトや、生姜はちみつドリンクにしても美味しくお召し上がりいただけます。
晴れて「はちみつ禁止期間」を乗り越えられた1歳以上のみなさまは、ぜひ日常にはちみつを取り入れてみてください!
To bee continued…
参考『消費者庁』